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顧客からの解約と返金要求、常に応じる必要あり?

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顧客からの解約と返金要求、常に応じる必要あり?

エステ、美容医療などが含まれる『特定継続的役務』とは?

エステティックサロン(エステサロン)が提供しているエステティックサービス(エステサービス)は、特定商取引法(特商法)上、『特定継続的役務(とくていけいぞくてきえきむ)』といいます。?
『役務(えきむ)』はいわゆるサービスのことで、『特定継続的役務』とは、政令で定める『特定継続的役務』を、一定期間を超え、一定金額を超える対価を受け取って提供することを意味します。

 

現在、いわゆる語学教室や美容医療など7つの役務がこれにあたるとされています。?

 

ただし『特定継続的役務』とされるのは、支払う金銭の額が5万円を超えるサービスに限られています。?

 

そのため、5万円以下のエステサービスは『特定継続的役務』にあたらず、特商法は適用されないことになります。?

 

5万円以下のサービスを規律するのは民法等の一般法となり、契約の解除も民法等に従って行われることになります。

 

よく『お試しプラン』や『トライアルコース』などと呼ばれている、お値打ち価格(5万円以下)でそのエステサロンの施術を体験できるようなサービスが、これにあたります。?

 

契約書面と概要書面は常に交付するべき?

 

特商法上、『特定継続的役務』を行う際、その役務(サービス)を受ける者に対し、『契約書面』と『概要書面』を交付することが義務づけられており、エステサロンも例外ではありません。

 

しかし、これらの書面交付義務は、あくまで『特定継続的役務』を行う場合のものであり、そもそも、『特定継続的役務』にあたらないサービスについては、交付は義務づけられていません。

 

そのため、支払金額が5万円を超えないエステサービスの解約が問題となった際、消費者センターから、「そのような契約が締結されたことの証拠として契約書面を提出してください」と言われても、提出する必要はなく、そもそも、作成すら法律上必要とされていません。
エステサロンを経営する事業者は、この点に留意しておきましょう。?

 

5万円以下のサービスのクーリングオフに注意!

 

エステサービスの提供を受けた人は、契約書面と概要書面の受領を受けた日から8日以内であれば、違約金や損害賠償金の支払いをすることなく契約を解除できます。
これを『クーリングオフ』といいます。
また、8日を経過した後であっても、一定の違約金を支払い、契約を中途解約することができます。?

 

しかしながら、中には、『トライアルコース』など、顧客が支払金額5万円を超えないエステサービスを受けた場合でも、クーリングオフや中途解約の要求をしてくるケースもあります。
先述の通り、このようなサービスは特商法上の『特定継続的役務』に該当しないため、民法上の債務不履行解除、または合意解除が問題となることはあっても、特商法が定めるクーリングオフや中途解約が問題となる余地はありません。
5万円以下のサービスについては、クーリングオフや中途解約の主張を認めてしまわないよう、注意が必要です。?

 

返品可能な『関連商品』、不可能な『推奨品』?

 

たとえば化粧品、サプリメント、下着類、美顔器など、そのエステサービスの提供に際し、購入する“必要がある”商品を、特商法では『関連商品』といいます。
これらはクーリングオフや中途解約が可能とされています。

 

注意しなければならないのが、特商法上『特定継続的役務』を提供する事業者は、概要書面及び契約書面に『役務の提供を受ける者が購入する必要のある商品がある場合にはその商品名』および『支払う費目毎の金額』、つまり、関連商品の商品名と金額を記載すると定められていることです。

 

したがって、エステサービスの契約書面に、購入する“必要がある”商品として記載されたものが『関連商品』であり、必ずしも購入する必要がなく、契約書面にも記載されていないものについては、いわゆる『推奨品』であり、これはクーリングオフや中途解約の対象外となります。

 

エステサービス事業者が販売するサプリメントは、特商法上の関連商品にあたる場合もありますが、エステサービスを受けるにあたり“飲んだほうが望ましい(飲まなくても別に構わない)”程度で、契約書面の関連商品欄にも記載がないものは、単なる推奨品となるケースが多いです。
この場合、サプリメントが未使用であっても、顧客や消費者センターからのクーリングオフや中途解約に基づく返金要求に応じる必要はありません。

 

これらのことからわかるように、エステサロンを経営する事業者は、顧客からのクーリングオフや中途解約と返金の申し出を、場合によっては拒否することも可能です。
どのような場合に拒否が可能かは、事案によっては判断がむずかしい場合もあります。
あとあとの不要なトラブルを避けるためにも、事前に十分な説明を行い、経営側、顧客側双方にとって、納得のできる契約を結びましょう。

 

著者

小野 智博


小野 智博
 / 弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所

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