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設計は「アイデア力」だけでは足りない

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設計は「アイデア力」だけでは足りない

 

製品開発を担っている設計部門では、各会社とも目標原価の設定がされ、その達成を強く求めることが通常になっています。

 

この結果、私が訪問した会社の中には目標原価の達成が難しいと判断すると製品の大きさを小さくすることによって、材料費を削減して目標原価を達成しようとする会社もありました。

 

これは、製品の企画書と異なる方向に進んでしまうことになってしまい、本末転倒ではないかと思うこともあります。

 

それでは、設計者は、何をもとに製品の構想を練ったり、構造を考えるのでしょうか。

 

多くの設計者は、まず先輩が設計した構造を真似ることからスタートするのではないでしょうか。

 

そして、先輩や競合他社の製品、専門誌や雑誌に紹介されている記事などの情報の収集を行い、真似ることから従来とは異なる製品構想を練り上げて、新しい構造を作り上げていくことになると思います。
これが、「アイデア力」になるのではないでしょうか。

 

しかし、設計者は、その構想を練る段階で、もう一つ重要な要素を検討していかなければなりません。
それが、目標原価であり、目標原価の達成が求められます

 

つまり、設計者は、製品企画書に記載されている品質や性能、寿命などの要件を満たすとともに目標原価を達成することが求められるということです。

 

ある測定器メーカーの設計部門では、従来の製品をマイナーチェンジして、新製品として市場に出そうと考えています。
ただ、現行の製品は価格競争が激しいため、販売価格を引下げる必要があり、そのための原価低減の検討を進めています。
しかし、思うような原価引き下げのメドをたてることが出来ないため、私を含め数名のコンサルタントの方々に相談をしていました。

 

私はその一番最後であったようですが、打合せのときに現行の製品を見せていただき、コストダウンできますかという質問をいただきました。
その際には、製品の原価及びいくつかの主要な部品について、概算の価格をお尋ねし、コストダウンの可能性を指摘させていただきました。
後日、コストダウンのための計画書を提出し、打合せのときに、再度現行の製品をコストダウンできるかを再度確認をされました。
可能でしょうとお答えすると他のコンサルタントの方々からは、方法論の説明をいただくことは出来たが、コストダウンできると答えたのは私だけあったと説明されました。

 

結論から申し上げると、この案件は、予算の関係で保留になってしまいました。

 

ここで、私が、何故、測定器メーカーのコストダウン可能であると答えることが出来たかということについてお話します。

 

測定器に使えそうな品目(市販品)について、現在の技術とコストに関する情報を持っていたからです。
また、測定器に採用されている加工品目についても、世間一般のコスト情報を持っていました。
一例を掲げますと、測定器のプリント基板です。プリント基板の寸法や電子部品の数などから、概算の単価を容易に算出することができます。
これを用いて、購入しているプリント基板の単価と比較しました。その結果、現行の購入価格が高いという判断ができたのです。
それは、製品の品質や性能、寿命などの要件を満たすことのできる品目が、概算でいくらで入手できるかを把握できるということです。

 

このように設計段階では、製品の構想を練ったり、構造を考えるにあたって、概略の原価をすぐに入手できることが大切です。
そして、もう一つ大切なことは、その概略原価が、過去の自社の実績を中心にしたものではなく、世間一般で通用する価格(原価)であることです。

 

過去の実績を中心として原価情報は、そのときの技術力であったり、価格交渉(ネゴ)、工法(作り方)などの多くの要因が加わっています。
それは、新たな製品原価を算出するにあたって、現在の技術力や市況、工法によるコスト優位性などの情報が加味されることもなく、本来の原価算出に含めるべきでない価格交渉(ネゴ)や方針、政策が含まれていて、信頼性の乏しいものになるからです。
つまり、設計段階での目標原価達成では、現在の環境を広く捉え、本来いくらで作れるかという原価情報を持っておくことが必要ではないでしょうか。

 

 

 

間館 正義 / 日本コストプランニング
コストテーブルを活用した原価の見積、原価管理、MRPUをベースとした生産管理システムによるコストダウン・コンサルティングを中心に活動しています。

 

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