コストダウンの基本はものづくりから
「コストダウンは永遠のテーマである。」といわれるように会社では、日々経費の削減や原価意識などのコトバが発せられています。
とくに、直接製品と関係する開発、購買、製造の各部門では、原価低減を図るためにコストを意識した設計や、購入する原材料や部品の価格の査定、作業工数の削減などに注意を払っています。
ある会社の購買部門から、外注加工品のコストダウン・ツールとして、弊社の見積ソフトを購入したいという引き合いをいただきました。
従来、この会社では、取引先数社に相見積り依頼をして、それらの見積金額の中から安価な会社を選択してきました。
しかし、相見積りでは、従来の取引先になってしまうことがほとんどで、コストダウンが進まないということでした。
また、ベテランの50代後半のバイヤーの方の中には、加工品を見積もるための積算の仕方を知っている方もいましたが、加工条件が見直しを行っていないことや電卓を使って手で計算するため時間を要することなどもあって、積算をほとんど活用していませんでした。
むしろ、外注加工品の査定の方法としては、これまで社内で蓄積した情報をもとに、一部でsあたり単価を用いていました。
しかしこれも、近年の材料費の変動によって、適切な査定のツールになりませんでした。
当初、このような理由から弊社の見積ソフトを購入したいということでした。
これに対して弊社では、その会社の作っている部品が見積ソフトでどの程度カバー出来るかという面から、その範囲が狭いと判断し、お断りをしました。
するとマネジャーの方から、
「見積ソフト購入の目的は、外注加工品のコストダウンである。しかし、それだけではない。
若手の社員は、工場を見ていても加工品がどのように作られているのかよくわかっていないため、見積りの査定も行うときに、取引先から説明に対して、しっかりとチェックなど行うことのできるメンバーがほとんどいない。
その結果、取引先の見積金額で決定してしまう、あるいは多少の値引きをしていただくことで単価が決定してしまう。
つまり、バイヤーが、主体的にコストダウンを推進しているわけではないのだ。
しかし、将来その若手社員が、外注加工品を含めた調達品のコストダウンを推進するリーダーになってもらわなければならない。
そのためには、ものづくりに関する知識を持ち、原価とコストダウンの教育をしたいのだ。見積ソフトは、そのためにも活用したい。」
という説明をいただきました。
「ローマは一日にしてならず。」
といわれるようにコスト意識の定着を図り、コストダウンを推進していくためには継続的な努力が必要です。
そのきっかけと継続的な教育のために見積ソフトを利用されるということで、ご購入いただきました。
それ以降、何度かお邪魔をして、ものづくりとコストに関する教育をさせていただきました。
現在も、見積ソフトを活用しながら社内でのものづくりとコストの教育を継続されているそうです。
こちらで紹介いたしました会社は購買部門が対象になっていますが、他社設計部門でも同様の理由で購入いただいたケースがあります。
継続的にものづくりの教育を行っていく中で、それらの情報をもとに原価情報を整理し、コストダウンを図っていくことが求められるのではないでしょうか。