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有事のルール−まとめ/その12「迫りくる法改正の荒波−7」

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【経営】有事のルール−まとめ/その12
「迫りくる法改正の荒波−7」

●前回、改革特区(福岡)における雇用指針において、「職務給」の推進に言及している点に触れましたが、それには、単に外資が、母国の風土で馴染んできたシステムをそのまま持ち込める、活動し易い環境を整えるというに止まらず、永年同一価値労働・同一賃金の原則実現を主張してきた労働側の口を封ずる意図も含まれていた可能性がある、とする見方があります。
この「仕事基準」の契約による仕組みを日本に根付かせ、普及させようとする動きに歯止めを掛けようとすればする程、それが天に唾する行為になってしまう−というジレンマに相手を追い込み、出口となる裏木戸の先に「ジョブ型雇用」の囲いを仕掛けて一網打尽にしようと云う、練りに練った高等戦術ではないかと云うのです。

 

●例えば、日本労働弁護団が、「同一価値労働同一賃金」の理念に一歩も二歩も近づいた画期的な判断として歓迎した「丸子警報器事件(長野地裁上田支部・平成8.3.15判決)では、正社員労働者と同じ条件下でライン作業に当たっていた臨時契約の社員−25年勤続−に対する賃金格差が、20%を超える場合は不合理であり、公序良俗違反であるとする判決が下されてはいます。
とは申せ、その根拠が今一つ明らかではない上、判例法理として確立されるまでには至っておらず、また、昨年4月に施行された改正労働契約法20条でも、「同一の使用者の下で働く有期労働者と契約期間の定めのない労働者の労働条件の相違が、業務内容、責任の度合い、配置変更の範囲等に照らし、不合理と認められるものであってはならない(要約)」と定められ、丸子事件の精神は受け継がれているように見えつつも、この条文自体、日本的雇用慣行が前提とならなければ成り立たない、限定的なものではなかろうか、と考えられるのです。

 

●そもそも契約が、地域限定、就労時間限定もしくは期間限定(ジョブ型雇用として想定されている働き方の定義)で取り交わされ、ジョブローテーションや転勤命令等の入り込む余地のない、予め合意された約定に基づく債権債務関係で成立する形の、いわゆる正社員とは入り口から分岐した道筋のものとなってしまえば、労働条件の相違の不合理性を争う余地すら生まれない筈なのです。
労働側が、一種の悲願として追求してきた「同一‥」の原則が、図らずも「職務給」によって肩透かしを食い、恰もサンク・コストの罠のように、主張すればする程ジョブ型雇用を促進し格差の固定化を招く、とすれば、実に皮肉な構図と云うべきではないでしょうか。

 

●事は、職務給問題に止まりません。
指針にはこの他にも「退職パッケージ」という、聞き慣れない新語が出て参ります。
当局のネライは正に、”新規開業直後の企業及びグローバル企業等が、我が国の雇用ルールを的確に理解し、予見可能性を高めるとともに、労働関係の紛争を生じることなく事業展開することが容易となるよう、国家戦略特別区域法(平成 25 年 12 月 13 日法律第 107 号)第 37 条第2項に基づき、労働関係の裁判例の分析・類型化による「雇用指針」を定める”とする序文で明らかな様に、長期雇用を前提としない”外部労働市場型”の企業で多く見られる、特定のポストの為に雇用された労働者等に対し、そのポストが喪失した場合に行なわれる一定の手続きや金銭的な補償、再就職の支援を[退職パッケージ]と命名し、このパッケージが提供される場合は、典型的な”内部労働市場型”の日本企業に求められる様な解雇回避努力は軽減される傾向にある−とする分析説明に繋げているのです。

 

●ご覧の通り、指針の正面図は、確かに外資への誘い水=メッセージ=その物に見えます。
けれども、少し斜めから光を当てると、その側面図には、ある業界への利益誘導と労働政策転換を抱き合せた、巧妙な仕掛けが浮かび上って参ります。

 

−次回は、このテーマを中心にレポートする予定です−

 

 

 

有事のルール−まとめ/その12「迫り来る法改正の荒波−7」

 

著者/

夏目 雅志  / 三友企業サービスグループ

常に決断を迫られる経営者。
私達は常に経営者の傍らでその背を支え続けます。

 

 

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