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有事のルール−まとめ/その9「迫り来る法改正の荒波−4」

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有事のルール/その9
「迫り来る法改正の荒波−4」 「残業代ゼロ時代!!」

●「残業代ゼロ!!」−先月末、マスコミが挙ってニュース配信に使ったヘッドラインです。

 

表向き否定されてはいたものの、事実上、第一次安倍内閣当時に実現を目指して頓挫した、悪名高き「ホワイトカラー・エクゼンプション(W・E)」の復活・焼き直しであった事は明らかです。
5月26日から28日に掛け、一部の文言が日替わりで引っ込んだかと思えば又形を変えて姿を現すといった趣で、本件は一見、二転三転したかのように見えながら、気づいてみれば実は為政者の当初の思惑通りに事が運んだ、という印象が強く残ります。
当初、「受け入れ条件は、年収数千万円の世界的に活躍するエキスパートに限定」と公言し、抵抗姿勢を示していたかに見えた厚労省も、あっという間に「年収一千万円」で腰砕け。
元々のシナリオ通りの結末に、「茶番劇」「出来レース」という声が相次いだのも十分頷ける処です。

 

●実はこのテーマは、古くから財界の待ち望んでいたものの一つであり、昨日今日の話ではありません。
経済財政諮問会議や産業競争力会議等、政策決定に深く関わる諮問機関の議事内容に目を通すと、W・E以外にも、例えば「解雇規制の緩和」など、セットで同時進行を目指す課題目標がメジロ押しとなっており、27年4月には、早くも改正労基法が施行となる可能性も指摘されている程です。
中でも、「解雇規制の緩和」と並ぶ目玉に、「ジョブ型正社員」というジャンル新設が在ります

 

転勤、転属、配転等の人事異動のフリーハンドが付与される代わりに、強い解雇規制がかけられていた旧来型の雇用を「メンバーシップ型=昭和期型」と位置づけ、「勤務地限定」「職務限定」「勤務時間限定」の何れか又は組み合わせた形での就労を、今日的な時代状況に適した働き方として「ジョブ型」に分類しようとする考え方です。

 

多様な雇用形態が働き方の選択肢を増やし、正規、非正規の二極化を解消するバイパスにもなり得るというのがタテマエですが、その先に見えるのは「幹部候補は全体の2割。残り8割のうち、3割が専門職で残り5割は流動層」といって憚らなかった90年代半ばの、財界4団体によるレポートが示した絵柄そのものなのです。

 

●「ジョブ型正社員制度」とは、表現を変えた専門職社員(3割)の雇用システムの事であり、エンプロイヤビリテイ=他社や他国でも雇用され得る職業能力と訳される。どこにでも自由に転職できる一方、解雇規制と云うセーフティネットからは外される事に=の美名の下に、相場も未整備な専門職市場に多くのヒトを送り出そうという仕組みとしか思えず、もしそうであれば、新たな火種を発生させる危険が高まるだけです。

 

財界の主張が全て通れば、経営サイドにとって有利な展開が望めそうに思えるかも知れませんが、中小企業と大手では、実は足場が全く違うのです。
大手企業から弾き出され、或いは門前払いを食った多くの者の受け皿となっているのが中小企業。
法理よりも、永年の慣習や阿吽の呼吸で物事がギクシャクせずに治まって来た−そういう磁力が働く場で、改正法の成立を後ろ楯に、力技によって何事も押し切ろうとすればする程、軋轢や相互不信が生じ、事業者の体力を殺ぎ、消耗させる結果になりかねないからです。

 

●良し悪しは別として、何十年にもわたって積み上げられ、それなりに定着してきた日本の労働慣行。
その根本を形成している「法自体」を、一気呵成に変更してしまおうという今の流れは、大きな反動を惹き起こしそうな気がしてなりません
因みに、諮問機関が推進しようとしているプランには、「ファミリーフレンドリーでワークライフバランスが達成できる働き方」「女性の積極的な活用」「長時間労働の抑制」「多様な正社員の普及・拡大」等、修辞の多用が目に付きます。
何らかの意図を隠す目的又はそれとなく何らかのメッセージを相手に伝えるため用いられるこの手法。
一体、誰に向けてのものなのでしょうか?

 

 

 

有事のルール−まとめ/9「迫り来る法改正の荒波4」

 

著者/

夏目 雅志  / 三友企業サービスグループ

常に決断を迫られる経営者。
私達は常に経営者の傍らでその背を支え続けます。

 

 

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