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「有事のルール ― まとめ/その6「迫り来る法改正の荒波」

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「有事のルール ― まとめ/その6
「迫り来る法改正の荒波」

●アベノ・ミクスのカンフル効果も、持ってオリンピック終了まで−とする冷ややかな見方が、少しずつ広まってきているようですが、夏日を思わせる暖かさについ気も緩みがちで居た処、一晩の内に辺りはすっかり雪景色−という位、経済環境を一変させてしまいかねない変動要因が至る所に伏在している今日、7年先の見通しを話題にする事すら、戯言に思えてしまいます。

 

●かつての有事が、今では日常の中に見え隠れしつつ浮上潜伏を繰り返す、そんな有為転変の真っ只中、軋み音を響かせながら「国家百年の大計」ともいうべき巨大母艦の舵が、大きく転じられようとしています
今から116年前、日清戦争終結後間もない明治29年に施行された、民法という空母の方向転換作業(債権法改正)が、この千変万化の情勢下で始まっているのです。

 

●改定草案の策定に携わる学者や法律家等からは、転換を要する主たる根拠として、次の二つが示されています。
ざっくり云えば、一つは、制定以来100年余を過ぎ、老朽化して時代にそぐわなくなった条文を見直し、文言を判りやすいものに改める必要があること、二つ目は海外勢に比べグローバル化の波に乗り遅れ気味となっている法律分野で巻き返しを図るには、純国内法たる民法に国際的に通用する基準を導入することが不可欠である−というものです。

 

●何やら8年前の、会社法制定時のキナ臭さ(背後のシナリオ)を思い起こしてしまいそうな、コジツケに思われてなりません。率直に申して、こんな漠然とした理由で、100年余にわたり国の仕組みの根幹を支えてきた法体制を変えてしまおうというのでしょうか。少なくとも、対象となっている債権の一つ一つに及ぼす改定の影響の大きさを考えると、そんな曖昧模糊とした説明では、十分な説得力があるとは思えないからです。

 

●具体例で、それを検証してみます。先ずは、事業経営に直接響く「時効(民法144条−174条)」の問題です。
債権の消滅時効については、10年間の時効期間が原則とされています(167条第1項)が、例えば「飲み屋の付け」は一年、商品の売買代金は二年、工事代金は三年で、それぞれ短期消滅時効に掛かる事とされる等、例外が設けられています。
平成21年秋口から始まった法制審議会民法(債権法)部会の審議は現在、26年7月の要綱仮案決定に向けて大詰めの段階に入っており、この167条についても次のような議論が取り交わされています。

 

●10年の時効期間の開始時期は、「権利を行使することができる時」のままとしながら、短期消滅時効のような例外的取り扱いは全廃し、一律5年に改める−か、又は一定の債権について5年と3年の二種類とする−か…。
因みに、ここで示された論拠は、一年、二年、三年等々で区切られた消滅時効期間の違いに合理的な説明が示し得ない為−というものでした。

 

●誤解を恐れずに云えば、「何を今更」の感が否めません。傍から見ると、債権の性質によって扱いが異なる、複雑で判り難い仕組みだから、判り易く公平に5年で統一したらどうか、というような大雑把な話にしか見えず、では、これまでの時効期間設定は一体何だったのか、と言いたくもなります。

 

●中間試案を見る限り、「5年」統一でほぼ決まりとなりそうですが、そうなれば、民法を根拠法として成立している他の法律にも、当然少なからぬ影響が及ぶ事になります。
最も危惧せざるを得ないのは、現行2年で消滅する賃金債権(労基法115条)と有給休暇請求権(同条のその他の請求権)が、特例措置でも適用されない限り、そのまま5年に変更されてしまう事です。
特に、未払い残業代請求訴訟が過払い金返還請求に代わる次の草刈場になりつつある中、時効期限の延長は、数年前の退職者も巻き込んで泥沼化する恐れや、退職時の有給請求が100日に及ぶ事態さえあるからです。<以下次号>

 

 

 

有事のルール−まとめ/6「迫り来る法改正の荒波」

 

著者/

夏目 雅志  / 三友企業サービスグループ

常に決断を迫られる経営者。
私達は常に経営者の傍らでその背を支え続けます。

 

 

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