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「有事のルール ― まとめ/その4 スマホと経営」

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有事のルール−まとめ/その4:「スマホ時代の組織運営」

●従来−つまり平時−の価値基準や価値判断に基づく事業活動や組織運営が、現実によってしばしば手ひどいしっぺ返しに会うケースが増大している事から、その原因を究明する内、現状は最早「有事」と見立てなければならない段階に至っており、その有事に見合った新たな機軸=ルール=をどう作りこんでゆくか、が喫緊の課題として問われているのではないか、というのがこの一連の記事に着手する出発点でした。

 

●そして、このテーマに取り組んで一年余り、社会環境の変化は予想を超える速さで進み、慎重且つ冷静で客観的な反応や答えは疎まれ、吟味も熟考もなされないまま無責任に吐き出されたような即物的な同調や、大向こう受けする断定的言辞がもて囃される傾向が益々強まっているように思われます。
云うまでも無く、その背景には、スマホに代表される時空を一瞬で跨ぎ越す通信技術の驚異的進化がある事は、疑う余地がありません。
スマホの画面の向こう側で、常に他者の目がこちらを窺い、耳を聳てているのです。その結果、いわゆるトガッた意見や、個性的な見解はたちまち袋叩きに遭い、「炎上」することになります。

 

●画面を指でなぞりさえすれば、尤もらしい理屈が簡単に手に入り、都合の良い理由も見つけ出せる−自分に加勢してくれる者や自分の立場を強化してくれそうな武器も容易くネットで入手できる。
その反面、それらは、自ら悪戦苦闘した挙句に腑に落ちた考え方や長い年月の中で築き上げてきた信頼に基づく仲間達ではなく、あくまでもその場凌ぎの借り物に過ぎない為、自分の立ち位置にいつも確信が持てず、状況に左右されやすい−。

 

●このような若手社員が、ごく当たり前に存在しています。組織の活性化には、若手のパワーとエネルギーが不可欠である事は否定すべくもありませんが、ロジックを持たない又はロジックに裏打ちされないご都合主義の付和雷同は、組織運営にとって大きな負荷となっているのも又事実です。

 

●一般論からすれば、平均年齢の高い職場より、新卒採用が多く、若手が豊富な組織の方が良さそうに思えるかもしれませんが、事は、そう単純なものではないのです。
80年代の一人っ子政策下で育成された中国の若者達には、上述のような、身勝手でありながら付和雷同型の者が非常に多いとされ、会社運営においては無視できない阻害要因の一つと認識されています。

 

●私達の社会では、便宜的に使用してきた世代や年齢による区切りを、無意識のうちにハンディキャップ・ファクター(H・F)として転用してしまうという事が起きています。例えば就労支援の面では、34才までを対象となる若年層=35以上はフォローなし=に分類する、統計上の生産年齢人口は15以上−64才を上限とする=65以上は生産活動に従事しないものとしてカウントせず排除=等、恰も議論の余地すらない前提であるかのような使い方で、差別的思考に市民権を与えてしまっています。

 

●スマホ世代や中国の事例に現れている様に、若年層はただ若いというだけで、無原則無批判に有難がる対象ではなく、むしろそれ自体がH・Fになり得るのではないかということ、他方中高年齢層についても、根拠すら曖昧なまま線引きされた年齢を上回ったというだけで、端から疎んじてしまって良いのかという議論を、そろそろ始めなければならないのではないか、と考えています。

 

●無論、どの年齢層にも個体差は明瞭にあり、それを一律に扱う事は避けなければなりません。
若くして、高い目的意識とその実現に向けた努力を惜しまない者もいれば、遺憾ながらただ馬齢を重ねただけの者もおります。
けれども、事業組織も結局の処、社会の相似形である以上、有事の日常化時代に適合したバランスの取れた年齢構成の下での運営が肝となる筈です。
70才現役社会が指呼の間に迫る中、このテーマを暫く追求してみようと思います。

 

 

 

有事のルール−まとめ/その4:「スマホ時代の組織運営」

 

著者/

夏目 雅志  / 三友企業サービスグループ

常に決断を迫られる経営者。
私達は常に経営者の傍らでその背を支え続けます。

 

 

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