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「有事のルール」 番外編 その5

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有事のルール・番外編X

リスクの連鎖(労務リスク=法務リスク=金融リスク)を断ち切るには2

前回(フリーレポート)、銀行との関係の転換を図るカギは「目利き」にある−と書きましたが、一方で銀行サイドには、目利きを行うに十分な情報が無い−ことにも触れました。

 

誰もが感ずる通り、例の公式は企業の真の姿を反映しておらず、ましてそれを企業価値とは呼べない−が、決算書からはこれ以上の事実は把握できないので、インタビューや目視、伝聞等を併せた価値判断を加えざるを得ず、到底目利きとは云い難い…。

 

だとすれば、その、真の目利きの役割を果たすのは一体誰なのか−?

 

目利き役は結局、事業体の一部始終に精通した事業者をおいて他に無いのです。

 

何を今さら−と思われるかもしれませんが、むしろ問題は、その目利きが誰の為のものなのか−という点なのです。

 

例えば、それが起業を支援するベンチャーキャピタル(vc)*1向けだとすれば−斬新なビジネスモデルや知的財産、量販化可能なアイディアとオーナーシップに関する−簡潔かつ明瞭なメッセージそれ自体が、VCにとっては目利きとなります。VCが、これなら顧客がその価値を認め、彼らの購買意欲をそそる筈−と確信出来るか否かが、投資判断の基準となるからです。
*1:VCの出口戦略は、IPOやM&A等による早期の資金回収と高リターン。短期間での高利回り確保に量販が欠かせない理由がここにあります。

 

既存企業の場合はこれとはやや趣が異なり、金融機関を含む自社に関わるステークホルダー全てに会社の真価を正しく認識してもらう機会の提供である−という視点がむしろ重要でしょう。

 

情報提供は、それぞれの立場からのより適切なサポート供給を引出し、又滞留し腐敗しかけていた危険情報を掬い上げるキッカケとなり、結果として、他でもない自社の事業運営の環境整備を推進すること、に繋がります。
一見すると、回り道にも見えますが、これが「リスクの連鎖」を断ち切る正しい工程表ではないかと思います。

 

目利きは企業価値、より正確には「事業価値」*2(事業価値の方程式=企業価値−投資等の非事業資産 というのが公式です)の洗い出しであり、それには普遍性の高い基準とそのツールが必要ですが、全業種・業態に適合する指標を求めるのは、余りに非現実的に過ぎる為、各社のビジョン・方針、実状等に応じて基準の設計は自由に行い、最低限必要な共通項については、事業価値を資産別に振り分けて括り出すという考え方が、望ましいのではないかと思われます。

 

たとえば人的資産−@従業員定着率−を例に挙げて見ましょう。これは、業種により評価が割れてしまう項目ですから、最初の立ち位置設定が重要となります。

 

一般に生産技術分野では、定着率評価は基本的に高=可、低=不可とされます。

 

低定着→高離職→技術・情報の流出→技術・技能在庫の蓄積不足→士気・生産性の低下→間接費用(募集費、訓練費、管理費等)の増加→価格競争力低下→売上減少…というのがその理由ですが、技術・技能の後方移転、つまり次世代育成という面では、逆に一定のメンバーチェンジが不可欠なのは当然です。

 

従って、各社それぞれの育成計画(**年)を目途として達成率を弾き出し、定着率とのバランス評価を併用するという示し方も有り得る方法でしょう。

 

一方、マニュアル化の進んだ販売・サービス分野では、一般に逆評価となるが通例です。

 

高定着=低離職→平均年齢上昇→人件費増加→機動力低下→評判低下(ネット拡散)→客離れ→売上低下→原・材料費圧縮→評判低下‥の悪循環という訳です。

 

                ***
次回は、資産毎の事業価値括り出しについて、ご紹介して参る予定です。 <続>

 

※フリーレポートは、日程上、月末から月初辺りを予定しております。

 

「有事のルール・番外編X

リスクの連鎖(労務リスク=法務リスク=金融リスク)を断ち切るには2

著者/

夏目 雅志  / 三友企業サービスグループ

常に決断を迫られる経営者。
私達は常に経営者の傍らでその背を支え続けます。

 

 

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