有事のルール2704[迫り来る法改正の荒波−14:マイナンバーの終着点]

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有事のルール−:「続・マイナンバーの終着点」 [迫りくる法改正の荒波−15]

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有事のルール−:「続・マイナンバーの終着点」 [迫りくる法改正の荒波−15]

<序文>
大涌谷を中心に、俄かに活発化した火山活動が、観光業界に大きな影を落としている箱根。他方、警戒レベル2が解除されないまま、周囲1キロ圏内の立ち入り禁止が続く阿蘇中岳周辺地域。
一見全く別々で、関係性が無いかの様に見える出来事や現象が、稀にではあれ、密かに地下深くで繋がっている−という事があります。

 

●以下の二つの記事も、この図式に当て嵌めて見ると、そこに通底する「何か」が浮かび上がって来るように思われるのですが、いかがでしょうか。

 

一つ目は「Tカード、なぜポイント付かなくても出させる?ファミマの支離滅裂な回答の気味悪さ」という、経済系ビジネスサイト、ビジネスジャーナルが掲載した2014.12.25付けの放送作家、山名宏和氏執筆の記事。
ポイント交付の対象外である公共料金支払い時にも、Tカードの有無確認が行われ、提示するとカードリーダーに通される。
その疑問をぶつけると「来店実績が記録され、割引クーポン発行の確率がアップします」という回答が返って来るが、クーポンの発行基準はおろか、割引の仕組みも確認の方法も何も示されず、薄気味悪さを覚えるというもの。

 

●二つ目は、日経2015.5.11朝刊4面に載った同紙編集委員による「マイナンバー、そんなに心配?」と題する、とりわけカルテ直結により、医療データ漏洩の恐れがあるとして反対する日弁連等への反論を意図したと思われる記事。
大震災の際の混乱で病歴や薬の処方歴の確認が取れず、治療に支障を来たしたという話から始まり、前号でご紹介した電子システム先進国エストニアにまで飛び、当局にインタヴューした挙句、実演場面まで披瀝してその利便性を紹介する−という作り。

 

●一見無縁に思えるこの両記事に、一体何が通底しているというのでしょうか?

 

前者については、実は、放送作家が、その鋭い嗅覚で嗅ぎ取った違和感こそ、得体の知れない物=地下に通ずる穴の入り口=に遭遇した時、私達が咄嗟に感ずる一種の畏れを表している、と考えられます。
つまり、この場合の地下への入り口とは、他でもないカードリーダーそれ自体−。

 

日々の購買にもカード決済を奨励する韓国の例を思い起こしてみて戴ければ、きっと腑に落ちるのではないでしょうか。
読み取られたデータは一瞬の内に何処かのセンターに送られ、それが更に幾つかのネットを経由して、最終的に事業体本部に集められ、販路開拓をはじめ、経済活動の合理化に使われる=購買行動が丸裸にされ、思いのままに利用される=危うさへの反射的拒絶反応が、違和感の正体に違いありません。

 

一方、件の日経記事に目を転じると、カルテ等による生の医療データが個人番号と直結する措置は当面採らない−というのが政府の方針である以上、日弁連の懸念は杞憂に過ぎず、寧ろ、データを生かしきれない為に発生する医療費増や利便性の阻害を重視すべきだ−として、
国の先送り方針への無念さを滲ませ、まるで国の尻を叩いて発破を掛けるかの様な、政府広報紙と揶揄されるのも然り、と思わせる論調が展開されています。

 

●既にお気づきの様に、この両者に共通するのは、我々の眼に触れない地下深くで、現に行われ或いは今後益々加速する「情報収集と管理の一極集中・一元化」と「利用主体による、歯止めのない運用自由化」問題に他なりません。
確かに、一私企業のデータ収集・利用と国の政策に基づくそれでは、次元も法的規制のレベルも格段に異なり、そもそも同じ土俵に乗せて議論すること自体に無理がある、という声にも一理あり、そのままでは、経済活動と国家の政策を同列に論ずる事は出来ないでしょう。が、角度を変えてみると、そこには又、全く別の光景が見えて来るのです。

 

●代表的なスペクトルは、グーグルです。
一私企業が行う経済活動の合理化も、政府の手で行われる政策運用も、これらはほぼ全て、グーグル等のIT企業が開発を重ねるAI=ビッグデータの取り込みと解析を繰り返し、休み無く機械学習を行いながら進化し続ける人工知能=が提供する最新のシステムに頼らざるを得ない、という点では全く同じなのです。

 

●当初、マイナンバー制度は、税財源の確認確保に始まり、国による国民監視体制の構築を以って完成となる−そう思っていました。
が、事はそれほど単純ではなく、この仕組みは、政府の思惑をも超えた、より重層的なものになりつつあるのではないか、と考え始めています。

 

アマゾン等から、繰り返し案内が来る商品やサービスの購入誘導がその典型ですが、カードリーダーやオンライン決済を媒介として収集した膨大なデータと、それを地域や季節、年齢、性別、価格帯、サイズは勿論、好みのカラーや形、果ては匂いに至るまで、ありとあらゆる要素に分けて個々の購買動機や購買傾向を解析した上、最適解に近づけて自動的・反復的に購買提案を配信するコンピュータシステムの驚異的進化−
身を以ってそれを体感すればする程、マイナンバー導入以前の段階で、既に私達は一種の監視体制の下に置かれている、と考えざるを得ないからです。

 

●国民全員のデータを扱う個人番号の運用には、このシステムが不可欠であり、それを提供するのはパテントを有する米国のIT企業。

 

政府が獲得し管理しようとしている国民の情報は、結局の処グーグルやMS等、米国企業に取り込まれ、カネを払って提供するも同然という事になるかも知れません。
今は直結しないとされている生の医療情報も、何れはリアルタイムで転送されるときが来る筈です。
それを最も欲しがっているのは誰なのか?

 

必ずしも国内だけとは限らず、又医療業界関係者だけとも云えず、既存業者ですらないかも知れません。

 

あくまで仮説に過ぎませんが、例えばグーグルがM&Aを展開し、大手生保会社を傘下に収める事もないとは云えません。
医療費高騰に歯止めが効かず、今の健康保険制度が維持できなくなれば、米国式民間医療システムに衣替えしようと云う動きが出てくる可能性もあります
そうなれば、リアルタイムで吸い上げられた生の医療データは、保険会社にとって至宝と化す−。
私達を支配し統制下に置こうとする者=黒幕=は誰なのか?

 

●対抗手段は極めて限られています。
それでも、誰といつ何処に行ったかまで一挙手一投足が雁字搦めとなる息苦しさを少しでも回避するには、カード決済という利便性の呪縛から身を引き離すのも一案かと思われますが、如何なものでしょうか。

 

有事のルール−:「続・マイナンバーの終着点」 [迫りくる法改正の荒波−15]

 

著者/

夏目 雅志  / 三友企業サービスグループ

常に決断を迫られる経営者。
私達は常に経営者の傍らでその背を支え続けます。

 

 


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