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EC事業者の誇大広告に初の業務停止命令!その背景とは?

 

EC事業者が運営するWebサイト等に問題のある広告が掲載された場合、“景品表示法に基づく措置命令”という行政処分が頻繁に行われていました。

 

しかし、昨年末に、景品表示法ではなく“特定商取引法に基づく業務停止命令”の行政処分が行われました。その内容や背景を見ていきます。

 

特定商取引法における広告規制とは?

 

特定商取引法第12条は、通信販売を行う事業者が販売している商品の性能などについて、著しく事実に相違する表示や、実際のものより著しく優良であり、もしくは有利であると誤認させるような表示を禁止しています(誇大広告等の禁止)。
そして、事業者がこのような広告規制に違反し、通信販売に係る取引の公正や購入者の利益が著しく害されるおそれがあると認められる場合には、事業者に対して、通信販売業務の全部又は一部を停止することが命じられます(業務停止命令)。

 

EC事業者に対する業務停止命令

 

消費者庁は、平成30年12月21日、インターネット通販でデオドラントクリームを販売していた会社に対し、『誇大広告等の禁止』に違反したとして、3カ月の業務停止命令を行いました。
通販会社に対して業務停止命令が行われたのは初めての事案であると思われます。

 

この事案では、インターネット通販のWebサイトにおいて、デオドラントクリームについて、臭いの原因菌または病原菌が99.9%殺菌され、その効果が72時間持続するとの記載をしていたものの、その裏づけとなる合理的根拠がありませんでした。
また、値引きした価格について、「あと●時間●分●秒」などと記載し、その時間内に限り値引きした価格での購入が可能であるかのような表示をしていましたが、実際には、常に同じ価格で販売をしていました。
これらのことが、特定商取引法の『誇大広告等の禁止』に違反するとされたのです。

 

今後は措置命令に加え業務停止命令の可能性も

 

今回の事案の違反内容は、景品表示法における『優良誤認表示』『有利誤認表示』と同様のものです。したがって、景品表示法に基づく措置命令を受ける可能性もあったことになります。
措置命令ではなく特定商取引法に基づく業務停止命令が行われるに至った事情は不明ですが、いずれにせよ、事業者としては、今後は措置命令に加えて業務停止命令の可能性も視野に入れる必要があります。

 

景品表示法に基づく措置命令を受けた場合には、売上の3%相当額の課徴金を課される可能性があり、一方で、特定商取引法に基づく業務停止命令を受けた場合には、その期間事業ができなくなり収入が途絶えます。
いずれのダメージが大きいかは事業者によって異なるかもしれませんが、EC事業者の広告をめぐる状況が厳しさを増しているのは間違いないようです。

 

※本記事の記載内容は、2019年4月現在の法令・情報等に基づいています。

 

著者

小野 智博


小野 智博
 / 弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所

海外展開成功に必要な@販路を開拓、A拠点を開設、B海外企業と交渉して契約を結び、C現地法人を運営・管理、同時に、Dコンプライアンス対策を行う…これらの業務を日本からワンストップで実現をサポート。

 

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