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見積書の意味と価値を考える

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見積書の意味と価値を考える

見積書は、何のためにあるものでしょうか?

 

受注獲得のために顧客に提出する見積書が、一番最初に思い浮かぶのではないでしょうか。

 

この点からみると見積書は、受注獲得のスタートラインともいえるでしょう。

 

そして、見積書は、受注案件に対しての利益を企てることでもあります。
したがって、見積金額には、利益が含まれているということです。
しかし、競合他社との価格競争が激しいと値下げの方向に走ってしまい、利益を度外視してしまうケースを見かけます。

 

これは、損益分岐点や直接原価などの知識を有していると直接費を超える金額で受注できれば、他の受注でカバーすればよいと考えが浮かんでしまうからです。
この結果は、1年間の業績を評価したときに「利益が出ない。」、「採算が取れない。」という評価になってしまいます。

 

営業活動は、受注できなければゼロで何も残らない、受注金額が評価になるとの考えから採算性よりも受注獲得に重点が置かれるからです。

 

最近、ある会社から見積り方法の見直しについての相談がありました。
その会社では、あるクループの方たちからの診断を受けていて、見積金額の妥当性、見積り作業の効率化、売上アップのための販路拡大、作業改善が課題に掲げられていました。
それらの課題の中の一つの課題である見積り作業の効率化と見積金額の妥当性を改善したいということです。

 

ただ、初期段階の打合せでは、見積フォームの議論が中心になっていました。
そして、売上アップのための販路拡大や作業改善とは、関連性がなく、打合せを進めようとしているように感じました。
最初に申し上げましたように、見積書は「これだけの利益が欲しい。」という意思の入ったものです。
そして、その見積金額は、採算性をしっかりと見極められるようになっているものでなければなりません。

 

このためには、まず原価を詳細に積算しておくことです。
見積書の金額は、あくまで見積りあって、実際に発生する原価とは違うことから、正確に見積もっても意味がないと考えもあります。
しかし、これは間違いです。

 

経営の効率及び効果を高めるためにPlan−Do−Check−Actionの管理サイクルは、基本です。
しっかりと計画を立案し、実行し、その結果を評価するのです。
つまり、原価を見積するにあたっても、必要になる工程や作業、そして所要時間などを計画し、見積書にまとめていくのです。

 

そして、この工程や作業、所要時間などの計画と実績を比較し、改善を図っていくことになるのです。
このように原価面を切り口に作業の問題点や課題をみつけていくことができます。

 

それは、ある工程で発生する不良の改善がどれほど利益に貢献できるか、実際の所要時間と大きな誤差が生じた場合の利益への影響などが明らかになります。
これをたんに見積金額の妥当性や見積作業の効率といったとらえ方をしていては、成果に結びつかないのではないでしょうか。

 

そしてもう一つ、損益分岐点や直接原価などでの直接費の考え方をしていると、大きな見落としが出てきます。
それは、受注総額で固定費をカバーできればよいと思ってしまい、工場や工程、設備機械の能力(キャパシティ)を超えたならば、残業が発生し、変動費が増えてくることになります。

 

その一方で、見積り条件を決めるにあたって、ある一定の操業度(稼働)が設けられています。
このため、その操業度(稼働)の値よりも低い実績値になってしまうと、やはり予定よりも業績は悪化してしまいます。

 

営業活動は、外的な要因によって、受注が左右されます。このための分析をしておくことも必要です。
今回の売上アップのための販路拡大は、この操業度(稼働)の設定値を超える値に持っていくためです。

 

営業活動では、売上高という数値が求められ、生産活動では、モノづくりの時間を短縮することが求められます。
このように経営活動全体と原価及び見積りについて、原価計画に位置付けられる見積り作業を理解しておくことが必要です。

 

 

間館 正義 / 日本コストプランニング
コストテーブルを活用した原価の見積、原価管理、MRPUをベースとした生産管理システムによるコストダウン・コンサルティングを中心に活動しています。

 

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