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「有事のルール」 番外編 その6

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有事のルール・番外編Y

リスクの連鎖(労務リスク=法務リスク=金融リスク)を断ち切るには3

【資産毎の事業価値】括り出しは、一義的にはリスクの連鎖を断ち切る為の手段ではありますが、視点を変えればその作業は、【事業の棚卸しそのもの】と云って良く、それが事業運営の環境整備をもたらす「内外のステークホルダーへ向けて発信するレポートとなりメッセージ」となるのではないか−と考えています。

 

無論、その企業(事業)の収益性に着目し、税制や償却率・償却期間、利息等の地域差を取り除いた純収益指標=EBITDA(利息支払前・税引前・償却前 利益)*1やキャッシュフロー(cf)*2を重視する「投資家的事業価値判断」も当然あるでしょう。

 

そうした見方を決して否定するものではありませんが、これらは何れも財務会計的側面からの判断で人的資産や営業資産の実態は殆ど見えず、それをもって事業価値としてしまうには、やはり不十分と云わざるを得ない部分があります。

 

*1:例えばベトナムでは、金融機関の本年度平均貸出金利は15%程に及び、最終損益を大きく左右する要因となります。
*2:CF=営業CF+投資CF+財務CFで構成。
キャッシュの入りと出から、事業の良否を判断するもので、営業CF(本業での実入り)がプラス、その営業CFを元手に必要な設備を購入(投資CFはマイナス)、借金も返済する(財務CFはマイナス)という「+−−型」が理想形とされますが、「+−+」の借入増型でも、積極投資として評価対象となる事があります。

 

 

 

前回は「定着率」を使って、人的資産の事業価値括り出しの一端を見てみましたが、最終的にヒトに蓄積し止まる事となる技術・技能資産も、人的資産の一つとして捉える事が出来ます。

 

近年、技術・技能の概念は拡大し、従来の生産加工技術に止まらず情報処理技術やWEB操作修練まで含む広い分野に及んでおり、ハードの飛躍的性能進化に伴い、ヒトに対する技術・技能の要求度合いも、単能工型から多能工型=業務横断型・複線型技術習得=に変化してきているとされています。
このように複雑化した技術・技能資産を一体どう括り出したら良いのでしょうか?

 

一つは、事業における基幹技術と補完技術に先ずは振り分け(ウエイト付け)、その上で、概算で夫々の利益(売上げ)貢献度を掛け合わせる−という方法です。
これにより、おおよその重要度が算出されますので、その状態を維持し支える適正員数と要求される習熟度(例えば経験年数、所持している公的・社会的資格等)を明示すれば、技術・技能資産を数値化することも可能となる筈です。

 

 

 

【目利き】は正に、
1.プロの事業者がその視点で捉えた、各資産ごとの「事業の棚卸」

 

【事業のたな卸しの項目】
現状の各資産ごとの充足度や安定性
信頼性のレベル、陳腐化の進み具合等
(社員定着率、従来型基幹技術熟練者数、その技術を公的に担保する有資格者数並びに必要とされる研修修了者数、従来型基幹技術を使用した生産品目数、平均納期、平均単価、補完技術を使用した同種同項目の数値、ベテラン技術者及び育成途上者構成比、ミス・トラブル・クレーム発生&報告件数、改善案提出件数、協力会社数、発注元会社数、受注件数、仕入先数、償却済み機械器具再購入市場価格等)−

である他、

 

2.近未来への備蓄度や集積度、発展性(在庫数量、新規設備額・点数、投資CF、新規取引先数&在来取引先売上げ・利益率対比等)を簡潔に視認化し検証する作業-
に他ならず、それに基づいて整理された情報は、内外の事業環境改善の強力なツールになり得るもの−と思われます。(数式、分析表他のモデルは別稿掲載となります)

 

「リスク連鎖」の背景とその構造を追ってゆくと、最終的に「事業価値」とは何かという課題に行き着きます。
そこでそれを更に調べてゆくと、実は「事業価値」には、未だ公的な定義というものがなく、従って測るモノサシもバラバラであることが判って参りました。

 

投資家の尺度、金融機関の視点、企業買収仲介者の値踏み、損保会社のリスク算定、時には風評といったものまで含めると、実に様々です。

 

個々の判断基準は、それはそれで、それなりの意味を有し、それなりの結論に至るのでしょうが、そのどれをとっても「事業の本当の価値」=真価=を真っ当に評価しているとは思えません。

 

従来の測定基準が経済環境の変化スピードに付いて行けず、時代遅れになっていたり、【トリプルa】としてきた「選択と集中」戦略に基づく事業展開について、震災や暴動、紛争の勃発等を境に、'想定外'の事態というイクスキューズを用いつつ、いきなり【ダブルb】に格下げする等のケースも発生しています。

 

やむを得ない場合も確かにありますが、当初から情報開示が不十分であったり、開示の仕組みが整っていないため、評価要素が限定されたまま判断してきた、というのが実状ではないかと思われます。

 

開示された情報に不備・不足があれば、事業価値の真価など判る筈がありません。
しかもこれまでの情報開示には、量的不備・不足があるだけでなく、【質的情報】が圧倒的に欠けていました。

 

これをどうにかしなければリスクの連鎖は断ち切れない、その為には何が必要か、誰がその担い手になれるのか−
辿り着いたのが「事業価値を最も良く知る、事業者自体による【目利き】」という結論でした。

 

開示モデル(数式及び分析表等)につきましては、別紙レポートにてご案内する予定です。

 

                ***

 

次回は、資産毎の事業価値括り出しについて、ご紹介して参る予定です。 <続>

 

※フリーレポートは、日程上、月末から月初辺りを予定しております。

 

「有事のルール・番外編Y

リスクの連鎖(労務リスク=法務リスク=金融リスク)を断ち切るには3

著者/

夏目 雅志  / 三友企業サービスグループ

常に決断を迫られる経営者。
私達は常に経営者の傍らでその背を支え続けます。

 

 

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