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SMGレポート2507−1「経営:サービサーの変貌−1」

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SMGレポート2507−1

「経営:サービサーの変貌−1」

時限措置の期限切れを迎えた筈の「金融円滑化法」が、事実上継続しています。

 

参院選の決着もついていないこの時期に、みすみす票田を失ないかねない政策など、打てるわけがない−というのが玄人筋の見立てですが、果たして真相はどうなのでしょうか。

 

また昨年の暮れには、恰も終止符が打たれようとしているとして報じられていた事業再生手法の一つDDSが、金融円滑化法の終了=法的措置の終了=を受け、金融庁の行政指導権限の復活とともに、こちらも息を吹き返しつつあるようです。

 

資本不足に陥っているものの将来性があり、経営改善の見通しがある企業については、いわゆる銀行借入を「資本性借入金」とみなし、負債から資本への振り替えを認め、それをテコに財務の改善と新規借入枠を設けようという手法で、事実上、債権放棄に無理がある中小BKは積極姿勢、資金に余裕のある都市BKは消極的とされていますが、借手側としては、利用条件さえクリアできるのであれば、この仕組みを使う価値は十分あると考えてよいのではないかと思われます。

 

更に、金融環境の変化の芽は、これだけに留まりません。一部サービサー(国の認可を受けた債権買取業者。膨大な不良債権を抱えていた銀行の救済と金融再編を目的に、平成11年のサービサー法で誕生)の変身が顕著なのです。

 

従来は、バルクセールに出されるような不良債権を低額で仕入れ、表面的な債権額より大幅に低い価額で債務者に買い取らせ、そこに発生する差額を儲けとするという収益モデルが主流であり、基本的にどの業者も変りはありませんでした。

 

しかしながら、金融再編の一巡や円滑化法の実施等もあり、ここ数年でバルクセール自体が激減、債権売買の商いだけでは市場が限られる状態になってきたのです。

 

その結果、今やそのサービスメニューは、競売の申し立てに対する緊急避難資金や出口戦略の提供、事業再生に必要なツナギ資金の融資、MBO等の株式買取支援や創業期企業のスタートアップ投資=これは従来、ベンチャーキャピタルが専らその任に当たってきたものですが=等、充実の度合いを増し、不良債権処理の単なる受け皿から地域経済のインキュベータへとその役割と活動領域を大幅に広げている模様であり、イザというときには、保守的で融通が利かず、スピード感に欠ける市中金融機関より、むしろ彼等の活用を視野に入れておいた方が、時宜を失せずに適切な処理対応ができるかも知れない−という声さえ聞かれるようになって来ています。

 

金融におけるこれらの動きを理解する為、ここに至るまでの経緯を振り返っておきましょう。

 

サービサーの誕生まで、巨額の債権焦げ付きを発生させた金融機関は、常にその株主から訴訟を起こされるリスクを負っていましたが、平成11年の法成立により、合法的にこれらの不良債権を帳簿から切り離す事=実務上は、債権買取業者に売却する事ですが、BS上ではオフバランス化で簿価が時価に切り替わる為、財務バランスが安定します=ができるようになり、これにより貸付における不手際等で生じた債権の暴落=資産価値の毀損、ジャンク化=に対しても、責任を追及される恐れがなくなったのです。

 

その結果、法施行後10年間でサービサーに売却された債権総額(額面価額)は279兆円、そのうちサービサーにより回収された債権は31兆円であると報告されています。
これは一体、何を意味しているのでしょうか。

 

用語の解説も含め、詳しくは別途レポートにてご案内いたします。

 

※「本テーマ 解題」レポートを別途用意しています。
ご希望の向きは、その旨お知らせください。

 

 

「サービサーの変貌−1」

著者/

夏目 雅志  / 三友企業サービスグループ

常に決断を迫られる経営者。
私達は常に経営者の傍らでその背を支え続けます。

 

 

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